需給に応じて金額を変動させる価格設定の仕組みの「ダイナミックプライシング(DP、Dynamic Pricing)」は、エアラインやホテルなどの業界では既に一般化しています。

しかし、今までのスポーツ観戦チケットは、その試合が行われる状況に関わらず、チケット価格は当初の設定額のままで売られて来ました。

そこで、状況に見合った適正価格を流動的に判断する「ダイナミックプライシング」方式への取り組みがスポーツ界でも始まったのです。

ダイナミックプライシングの仕組み

最近は旅行業界のみならず、スポーツを含む多くの業界でDPの導入がすでに始まっているか、検討が進んでいます。

この仕組みに関する基本的説明を日経クロストレンドが提供しています:

「ダイナミックプライシング」とは、需給に応じて金額を変動させる価格設定の仕組みのこと。

エアラインやホテルなど、需要が集中する時期などを把握しやすい業界では既に一般化している。

一方、スポーツ観戦チケットなどは人気カードでも消化試合でも設定価格が変わらず、人気の試合はすぐに売り切れ、不人気の試合は閑古鳥が鳴くケースが目立つ。

そこで、需要が高い試合は価格を上げて収益をより確保し、需要が低い場合は値下げすることで集客する取り組みが始まっている。

近年は、AI(人工知能)が過去の販売状況や天候など売れ行きを左右するデータを大量に学習して最適価格をはじき出し、大胆に価格を上下させるシステムの導入が加速。

これにより、さまざまな業界がダイナミックプライシングの採用に舵(かじ)を切り始めている。

日本のスポーツ界でもすでにダイナミックプライシングが採用されていた

繁閑差に合わせて価格を上げ下げするダイナミックプライシングは米国では航空券や宿泊料のみならず、スポーツやコンサートのチケット、食品価格の決定にも浸透しています。

日本でもすでにプロ野球やJ1サッカーリーグ戦のチケットの値付けにダイナミックプライシングが導入されています。

具体的には、プロ野球のソフトバンクとヤクルトやJリーグの横浜F・マリノスが導入しています。

これからは、2月のJリーグのフジゼロックス・スーパーカップやラグビーの日本チーム・サンウルブズも今年のチケットが価格変動式となります。

不正転売防止も期待される

人気歌手やアイドルのコンサートのみならず、スポーツの場合でも、注目の選手が出場する場合や優勝などに関わる重要な試合のチケットが、ヤミで高額で転売されることがあります。

しかし、もし主催者側で需要に応じて価格を変動すれば、このような不正な転売が防げるという狙いもあります。

広がりを見せるダイナミックプライシング

前述のとおり、エアラインやホテルなど一部業界ではダイナミックプライシングが既に一般化し、繁閑差やイベントの有無、予約状況に応じて価格が大きく変動するようになっています。

今後は、Jリーグやプロ野球等のスポーツの試合に止まらず、コンサートのチケット価格をはじめ、駐車場やタクシーの迎車料金に至るまで、さまざまな業界にダイナミックプライシングが広がろうとしているようです。

例えば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンも19年1月から、繁閑差で入場料を変える新料金制を開始しました。

チケット購入直前の決断力が求められそう

新幹線、飛行機の切符代や宿泊料金など旅行関係の繁閑別の価格体系には慣れてきましたが、分野や業界とは関係なく、AIを活用してより精緻かつ大胆に価格を変動させる料金が広がりそうですね。

今までは、何かのチケットを買うときは、設定価格以外にはせいぜい早割、セット料金や前売り値段だけを調べていましたが、これからは購入の直前に「時価」を確認してから買うか、買わないかを決めなくてはなりませんね。

チケットを買う側の情報収集と決断力が問われるようになりそうですね。

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