陸上の100mや200mの短距離はどの大会でも人気の種目ですが、その記録を追い求める選手にとっては時に思いがけない悲運にみまわれることもあります。それが“フライングによる失格”です。
1回のフライングで即失格というのは、競技選手も見ている方も「なにが起こったの?」とあっけない出来事に驚きます。実際、桐生選手は2017年ダイヤモンドリーグのファイナル(決勝)でフライングによりまさかの失格となりました。
でも以前は普通にフライングして、またやり直していた気がするけど、、、。陸上のフライングルール(Starting rules)はちょくちょく変更になっていて、この「1回即失格」の変更が選手にとってもいちばん影響が大きいようです。
桐生選手、ウサイン・ボルトも例外ではない厳しいフライングの現実
2012年のフライングルールの緩和措置は、有名なフライング失格が2011年世界陸上の男子100mの決勝にて優勝を確信していたウサイン・ボルトがまさかのフライングで失格となり、同じジャマイカ出身のヨハン・ブレーク選手が優勝してことが大きかったようです。
その後の男子200mで見事優勝したウサイン・ボルトは記録こそ19.40秒と優れなかったが、さすがとしかいいようがありません。
人の反応0.1秒説には「もっと早く反応出来きる」との意見もあり、事実2017年のダイヤモンドリーグでの桐生選手のフライング失格は反応時間が0.084秒だったということです。
0.1秒の差が記録や順位に影響する陸上の短距離種目では、少しでも早くスタートをしたほうが有利ではあるけど、その速さを練習の成果と見なすか、不正とみなすかは難しいところですよね。それだけタイムという記録にシビアな世界なんだと他人事ではありますが、ドキドキしながら観戦しています。
その桐生選手の挽回のチャンスは2018年ダイヤモンドリーグ第2戦上海にて見ることができます。日本では日テレNEWS24によって放送されます。
陸上のフライングルールの変更/失格について
IAAFは2010年から2010年からスタートの不正(フライング)ルールを変更しています。これまで1回目は警告、2回目で失格となっていましたが、故意のフライングや2回の保険があることでフライングが頻発したためこれを妨害行為とみなし禁止事項としています。
新ルールでは混成競技以外のトラック種目は1回のフライングで即失格という厳しいものといなっています。このフライングの判定方法は、スタートの銃音が発砲されて、0.100秒以下でスタートした場合は失格となるというもの。
この“0.1秒”という時間は人が音を聞いてから反応までに最短で0.1秒かかる、という医学的根拠に基づいているそうです。ということはスタートタイムが0.100秒未満の場合、音を聞くことなしにスタートしていると判断され失格となります。ちなみにオリンピックではピストルと連動した“不正スタート発見装置”が使用されているということです。
このルールはあまりにも厳しいということになり、2012年から若干緩和されてスターティングブロックから両足が離れない、両手が地面から離れない限りはペナルティを課さないという措置が取られています。
スタートの時に示されるカードの色で何が起こったのかが分かるので参考までに。
- 赤/黒のカード(旗)・・・失格
- 緑のカード(旗)・・・ノーカウント
- 黄/黒のカード(旗)・・・混成競技1回目警告