一般的なトレーニングの原則と短距離走の記事で、一般的なトレーニングの原則について紹介しました。
短距離走で重要なキーワードは「伸張性収縮力」「特異性の原則」「過負荷の原則」です。
これらに注目してそれぞれのトレーニングを見ていきましょう。
Contents
短距離走のトレーニング
単純に全力で走る
単純に短距離を思い切り走るだけのトレーニングです。「特異性の原則」は十分ですね。
ただ自身の限界の速さで走るので「過負荷の原則」からは外れています。
重りを着けて走る
身体に重りを着けて、短距離を全力で走るトレーニングです。
一見「過負荷の原則」を満たしているように思えますが、重りを着ければ走る速度は遅くなりますので、着地の際に地面から受ける力は小さくなり、逆に負荷は少なくなってしまいます。
それならば、単純に走った方がよいと思います。
重い物を押したり引いたりして走る
重い物を押したり、ひもで引っ張ったりしながら走るトレーニングです。
これも重りを着けて走るのと同じことが言えます。
坂道・階段を上って走る
坂道や階段を上る時に発揮される力は、「伸張性収縮力」でなく「短縮性収縮力」なので、短距離走の速さにはつながらないと思います。
どちらかというと長距離向けのトレーニングでしょうか。
砂浜を走る
砂浜では、着地の際に地面から受ける力を砂が吸収してしまいますので、足を痛めないという意味では良いかもしれませんが、「過負荷」にはなりません。
砂浜ではなく、近くの運動場など走るのに適した場所で走った方がよいと思います。
坂道を下って走る
「特異性の法則」は十分、自身の最高速度を超えてどんどん加速するので「過負荷の原則」も満たしています。
問題は、あまり急でない適度な坂道があるかどうかですね。
急な坂道ではいずれ転んでしまいますし、転ぶのを防ごうとしてストップする動きは短距離走とは関係のない動きです。
短い歩幅で走る
脚の回転速度を上げる目的で、短い歩幅で走るトレーニングです。いわゆるピッチ走法ですね。
普段の歩幅で走る時の負荷に比べて、ピッチ走法は着地の際の負荷が小さくなってしまいます。
長い歩幅で走る
逆に歩幅を伸ばす目的で、跳ぶように歩幅を長くして走るトレーニングです。いわゆるストライド走法ですね。
一見、着地の際の負荷は大きくなるように思えますが、走る速度が遅くなってしまうため、負荷は増えません。
足の衝撃は少ないが体力を消耗するピッチ走法、体力は消耗しにくいが足の衝撃が大きいストライド走法、マラソンのような長距離走ではよく話題になっていますね。
片足で走る
片足つまりケンケンで走るトレーニングです。
これは「特異性の原則」から外れていますし、速度も上がらないので「過負荷の原則」も満たせていないと思います。
ジャンプトレーニング
スクワットジャンプやドロップジャンプなど、ジャンプするトレーニングです。
これも「特異性の原則」から大きく外れています。また、走る動作は地面を蹴って加速しますので、ジャンプするように走ると滞空時間が長くなり遅くなってしまいます。
フォーム関連のトレーニング
最初のうちは、フォーム関連に時間を費やすよりは単純に走った方がよいと思いますが、ある程度走れるようになればフォームを見直すのもよいと思います。
フォーム関連については速く走りたいなら、そのフォーム、改善してみよう!【診断と矯正トレーニング】の記事をご覧下さい。
ウエイト・トレーニング
バーベルやダンベルを使って、筋肉を部位ごとに鍛えるトレーニングです。
筋トレといえば、ウエイト・トレーニングを思い浮かぶぐらい普及しています。
短距離走に関わらず、基礎的な体力を手軽につけられますね。
ただ、このトレーニングによって「短縮性収縮力」は鍛えられますが、短距離走で重要な「伸張性収縮力」は鍛えられません。
トーイング走
トーイング走とは牽引走とも言われチューブ等で身体を引っ張ってもらって走るトレーニングです。
自分より速い人に引っ張ってもらったり、自転車で引っ張ってもらったり、いろいろな方法があります。
「特異性の原則」「過負荷の原則」ともに十分です。
欠点は、引っ張ってもらうので一人ではできないということですね。
まとめ
いろいろなトレーニングを見てきましたが、いかがでしょうか。
短距離走のトレーニングのおすすめは、手伝ってくれる人がいれば「トーイング走」、手ごろな坂道があれば「坂道を下って走る」、どちらもなければ「単純に走る」の3つです。