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走り高跳びに必要な助走
リズムをとる理由
走り高跳びは助走を行って、その上で跳躍する陸上の競技の一つです。
しかし、他の陸上種目と異なり、右端か左端のどちかから助走します。まっすぐ加速だけを求める助走をとらない競技であることがよくわかります。
走り高跳びの跳躍が特殊な理由は二つあります。
- 前方方向への跳躍ではなく、まっすぐな加速を上に飛び上がる力に変えること
- 背面跳びの場合は、飛び越えるバー方向と体の向き(ベクトル)が跳躍時において背中を向けるため、助走からひねりを加えなくてはならないこと
加速を上に向けるとは?
そもそも1.のように前方に加速した力を上に向けるとはどういうことでしょうか。
走り高跳びの場合、踏み切りの足によって力の向きを変更することが必要になるのは分かると思います。
そして、時には、伸張より高いバーを越えなくてはならず、その力は加速によって生み出さなければ得られません。
低ければ助走なしでそのまま越えられますが、高飛びの記録を出すにはそうは行きません。
よって、助走で前への加速は一度上に向けて、ロスを生じながらも跳躍時に斜め上の力に変換します。
このように助走の勢いを付けることで、立ち跳び(加速なし)の記録よりも圧倒的に高い記録を出すことが出来るのが走り高跳びの特徴なわけです。
助走がまっすぐではない理由
背面跳びにおいて、2.で挙げた項目ののひねりを加える動きは、一見、前方への跳躍にとって非効率的に見えます。
ですが、走り高跳びの場合はそれが効果的となります。
力を上向きに変える際、同時に体の面(背中)をバーと並行にしなくてはなりません。
したがって、助走は体の位置を自然な形で変えられるように斜めから入っていく助走になっています。
跳躍時のタイミングが肝心
助走と踏み切り
踏み切りのタイミングを考えた助走をすることが、走り高跳びにおいて理想的です。
跳躍に絶好のタイミングは、人の歩幅や加速の度合いなど人それぞれ微妙に異なります。
だから、決まった歩数が最適であることはなく、むしろ競技者によって踏み切り位置や踏切までの歩数やリズムが異なります。
歩数を決めるには
最高の歩数は決まっているものではなく、そして決めるものでもありません。
特に最後の2~3歩をのぞいて、どのくらいの歩数で加速するかは大会で規定されていません。
ただし、加速に乗りやすく、リズムを取れる歩数の大まかな範囲が知られています。
それが、7~11歩です。踏み切り足と反対にスタートして、ちょうど逆の足が踏み切りになるように逆算します。
走り高跳びでは、踏み切り足が狂う(反対になる)と結果が出せません。ですので、踏み切り足だけは決めておきます。
最初は加速のためにゆっくり、途中から加速しリズムに乗り、残りの2~3で自分が決めている跳躍練習の最高の状態で踏み切るのです。
踏み切り直前(3歩)でおさえるべきポイント
走り高跳びの場合、助走はずっと加速を続けるためのものではありません。
加速から踏み切り3歩前までにリズムをつかんで、スムーズに跳躍へと移ることを目指します。
1歩目:リズムにのる
まず踏み切りのための1歩目は、飛ぶ姿勢に入るよりも前にリズムに乗り切ることが重要です。足幅や勢いを調節しながら残りの二歩で跳躍の準備を出来るようにするのが狙いです。この一歩目でどれだけ勢いと跳躍のバランスをとれるかで助走から跳躍への成否が決まります。
2歩目:重心を下げる
踏み切り2歩目は、跳ぶことに意識が向きすぎて伸び上がった上体をわずかに下げ、重心を落とします。跳躍は体が伸びきったままだと十分に踏み込めず、上方向に力を変えることが出来ません。
飛び上がる前に沈み込むという人の自然な動きをしっかりと、跳躍前に作っておくのが二歩目の役目であり狙いです。そこで、重心を下げるために、お尻を沈めるイメージで二歩目を踏み出すだけで、それが跳躍のための準備となります。
3歩目:勢いを載せたまま踏み切り
最後の3歩目に勢いをのせたまま跳躍のための踏切をこの一歩で行います。方法としては、母趾球を使って地面をしっかりと押します。急停止したことで生まれた力は足の親指の付け根にある母趾球から地面、そして体を通して垂直方向への力に変わり、上方向へのジャンプになります。