国際自転車競技連合(UCI)のコースの承認を得て、2020年東京オリンピックの自転車ロードコース発表会が今月開催され、男女のコースの詳細の説明が行われました。
総距離は、男子は234km、女子は137kmで、いずれも東京府中市の武蔵野の森公園をスタートし、富士スピードウェイにフィニッシュするコースとなっています。
【東京五輪 自転車ロードレース】
人気種目の一つ、自転車ロードレースのコースが発表されました。武蔵野の森公園をスタートし富士スピードウェイまで。歴代の大会のなかでも起伏に富む難コースとなりました。
グラフィックは「東京五輪の自転車ロードコース/高低図」https://t.co/o8ZADi2HUi
— 朝日新聞デザイン部 (@asahi_designbu) August 10, 2018
Contents
「道志みち」、「富士山麓」、「三国峠」を通る絶景コース
2020年東京オリンピックのロードレースは、東京都内をスタートして富士スピードウェイにフィニッシュすることは既に発表されている通りですが、今回、コースの詳細が発表されました。
発表会には、東京2020組織委員会スポーツディレクターの室伏広治氏、日本自転車協会選手強化委員長の中野浩一氏が出席して行われました。
男子ロードレースのマップと高低図 –
234km、獲得4865mという過酷な長丁場となる
終盤は富士山スカイラインを登り、激坂三国峠を経由して籠坂峠をダウンヒル –
そして富士スピードウェイにフィニッシュする
女子ロードレースのマップと高低図 –
137kmで獲得標高は2692mに及ぶ
男女共通のルートを使うスタート地点となる武蔵野の森公園周辺のコース –
男女共通のルートを使う
各種自転車競技の解説は>>> オリンピック競技:自転車競技
自転車ロードコースのスタートは府中市の武蔵野の森公園となります
コースは、先ずスタート後の10kmのパレードののち、稲城市、多摩市、八王子市を通って神奈川県へと。
相模原市、山北町を経て山梨県内に入ると、山間を走る「道志みち」から山岳区間に突入します。
山中湖の西側を回って南下し、富士山スカイラインへ進みます。
ここでコース最高点となる標高1451mの「富士山麓」山岳ポイントを通過します。
下った後は富士スピードウェイと周辺道路で構成された周回コースを2周します。
コースを出て最大斜度20%の三国峠を登り、山中湖の東側を回って籠坂峠をダウンヒルし、富士スピードウェイに戻ってフィニッシュとなります。
女子は富士山麓と三国峠を除いたコースとなり、山中湖から籠坂峠を下って富士スピードウェイにフィニッシュすることになります。
獲得標高差は、男子は4,865m、女子は2,692mと設定されました。
特に男子は、標高1,000m以上の峠を5つ越えるという近年まれに見るハードなコース設定となりました。
技術的に優れた者を勝者と出来ることと、富士山周辺を活用した「日本らしさ」を出せるコース設定の要望を受け、今回のコースが決まりました。
コースの決定に賛否両論
UCI(国際自転車競技連合)のダヴィ・ラパルティアン会長はプレスリリースの中で以下のようにコメントしています。
「オリンピックタイトルはあらゆるスポーツ選手にとっての目標であり、東京五輪のチャレンジングで壮大なコースは世界屈指のレーサーたちをふるい分けるだろう。
富士五湖地域といった日本のアイコンとも言える場所で、沿道やテレビで観戦するファンに息を呑むような映像を届けることを保証する」。
その他関係者のコメントは>>> 東京2020オリンピック競技大会 自転車コース発表!!
しかし、対象的に、発表会に同席した日本自転車競技連盟選手強化委員長の中野浩一氏は、「率直に言って日本人には厳しいコース設定となったが、決まった以上は選手の皆さんに努力していただき、なるべく良い成績をおさめてもらいたい」とコメント。
さらに、中野浩一氏は「もう少し日本人選手にやさしいコースにしてもらいたかった」と不満も漏らしていました。
【東京五輪】自転車ロードコース 世界の中野浩一が激怒した理由 https://t.co/ng9PIMePu1 #日刊ゲンダイDIGITAL
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) August 11, 2018
中野浩一氏が指摘する問題点
世界選手権のスプリントで10連覇を果たした「世界の中野」こと中野浩一氏は、後日、新聞社のインタビューに答えて、2020年東京オリンピック自転車ロードレースの男子のコースに対するご自身の不満の理由を語りました。
「本来であればコースを選定する前に(日本自転車競技)連盟に相談すべきなのに、大会組織委員会からは一切そういうものはなかった」。
特に中野氏が問題視するコースの特徴で、全長244キロで、レース中に上った標高の合計となる「獲得標高」は4865メートルだということです。
北京(4736メートル)やロンドン(3127メートル)、リオ(3690メートル)のそれぞれのオリンピックコースと比べても高いほか、「道志みち」は、道が狭く見通しが悪いことで知られている点を上げています。
「せっかくコースが選べる自国開催なのに、その利点を全く生かせていない。
時間的にも日本の暑さを考えておらず、選手が倒れてしまうかもしれない。
もうちょっと現場の声を聞いたコースにして欲しかった」と中野氏は残念がっています。
当初のコースから変更された理由
東京五輪組織委にコース選定に関し、「2015年12月のIOC(国際オリンピック委員会)理事会で、自転車ロードレース会場は皇居外苑を発着とすることが承認されましたが、その後、UCI(国際自転車競技連合)から、道路制限の複雑さやフラットであり十分な高低差が確保できないという競技性の観点などから会場を変更し、富士山周辺を活用したコースにしたいとの要望があり、協議の上、今回のコースに変更となりました」と説明しています。
2020年東京オリンピック自転車ロードレースの男子はオリンピック初日の7月25日(土)午前11時スタート予定です。
女子は7月26日(日)午後1時スタートの予定です。
男子は130人、女子は67人が出場する予定となっています。
厳しい、過酷なレースになることは間違いありませんが、是非日本選手に、我が国が誇る美しい景色の中で頑張ってほしいものです。