「速さを生み出す原動力」の記事で、
速く走るには身体の「バネ」が重要であることを述べました。
では、身体の「バネ」とは何なのでしょうか。
また、それを鍛えるにはどのような運動をすればよいのでしょうか。
「バネ」の正体
身体の「バネ」とは、身体の「筋肉」やアキレス腱などの「腱」が引き延ばされて、
縮む動きを指します。
身体で運動に関係するのは、関節、靭帯、腱、筋肉、ですが、意図的に動かすことができるのは筋肉だけです。
運動するという動作は、筋肉を動かして関節の角度を変えるということです。
筋肉は縮めることしかできませんので、関節の両側で対になって、片方が縮めばもう片方が伸びるといった具合に働きます。
一方、腱は自ら動くことはないですが、外からの力や筋肉によって引き伸ばされます。
その時加えられた力をバネのように蓄え、放出することができます。
筋肉が発揮する3つの力
筋肉が発揮する力には、筋肉の長さに応じて、短縮性収縮力、等尺性収縮力、伸張性収縮力の3つがあります。
それぞれ、解説していきます。
短縮性収縮力
筋肉が縮みながら力を発揮します。
重量挙げや階段や坂道を上るとき、重いものを押したり引いたりして動かす時に発揮されます。
いわゆる力仕事で発揮する力です。この場合は筋肉や腱は引き延ばされませんのでバネとしての力は発揮されません。
等尺性収縮力
筋肉の長さが変わらないまま力を発揮します。
例えば、壁など動かないものを押したり引いたり、腕相撲で相手と互角で動かない状態などです。
この場合は、筋肉によって腱は引き延ばされていますが、動かない状態ですので「走る」時に発揮される力とは異なります。
伸張性収縮力
筋肉が目的方向とは逆に引き延ばされて、収縮すると時に発揮される力です。
外からの力によって筋肉と腱が引き伸ばされ、外力が無くなると蓄えられていた力が開放されます。
走る、跳ぶ、投げる、蹴る、打つなど、反対方向からの反動の動作がこれにあたります。
この伸張性収縮力を鍛えることによって、速く走ることができます。
2つの筋肉 ~速筋と遅筋~
魚に白身と赤身があるように、人の筋肉にも白身の多い白筋と、赤身の多い赤筋があります。
白筋が、力が速く立ち上がり、しかも強い力「速筋」です。速筋は力はすぐに低下して疲労しやすいです。
赤筋は、力の立ち上がりが鈍く、その力も弱い「遅筋」です。遅筋は疲労しにくいです。
2種類の筋肉がありそれぞれ鍛え方が違います。
スプリントとマラソンの両方でトップになれる人はいないわけです。
短距離走に貢献しているのは、言うまでもなく速筋の方です。
速筋を鍛えるには、有酸素運動のような強度の弱いトレーニングではなく、
無酸素運動のような強度の強い運動をする必要があります。
ランニングではなく全力疾走でなければ鍛えられないということですね。
まとめ
身体の「バネ」とは、「筋肉」や「腱」が引き延ばされて縮む動きのことでした。
また、速く走るには「伸張性収縮力」「速筋」を鍛える必要があることを述べました。
では、どのようなトレーニングをすればよいか、次回述べたいと思います。