よく陸上の大会記録やニュースを見ると、向かい風とか追い風など“風”がどのくらい吹いていたのか風速が必ず記録されます。大会の中でも風速のアナウンスがながれて表示されています。
この風速は実は記録と深い関わりがあるのを知っていますか?
この風によって記録が認められないこともあるんです。今回はいい記録が出た!と思っても公認されなければ正式記録として記録に残らないため実績にはなりません。しかし順位はつきます。では具体的にどう影響するのか見ていきましょう。
この“風”に影響される種目は:短距離(100m、200m)、障害走(ハードル)、走幅跳び、三段跳びが該当します。
風と陸上競技の記録への影響について
風には「向かい風」と「追い風」があります。読んで字のごとくですが、表記されるときには【追い風:プラス+】【向かい風:マイナス-】で表記されます。追い風のほうが走りは加速されます。
プラス2.0m以下の風で公認記録となりますが、これを超えると「追い風参考記録」となり公式記録に残りません。
最近でいえば2017年4月にアメリカで行われた大会でケンブリッジ飛鳥選手が100mで追い風毎秒5.1で9.98秒のタイムを出し日本人の10秒の壁を打ち破ったか?と思われましたが、“追い風参考記録”となり記録には残りませんでした。
その後2017年9月の日本学生対校選手権大会で桐生選手が9.98秒(+1.8)をマークし公式記録と認められたため日本人初の9秒代(9.98秒)記録となっています。
風速はいつ、どのように計測されるのか?
風速はスターターの信号器の発射(閃光/煙)から(=スタートの合図から)、
- 60mは5秒間
- 100m は10秒間
- 100mハードル は13秒間
- 110mハードル は13秒間
- 200mは、先頭の走者が直走路に入ったときから10秒間
計るようになっています。測るのはデジタルの風速計で計測され平均値が出るようになっているようです。
こちらは風速と記録の計算できるサイトです >>> 無風換算(100mと200m)関東高校陸上競技結果情報
計算では100メートルを10.00秒で走る人の場合、単純に計算すれば、0.1秒の差は1mになります。
直近のセイコーグランプリでのガトリンの記録:10.06秒、向かい風-0.7mを例にとってみると、無風に換算した場合は10.01秒という計算になります。参考までに風速4.0m/秒は扇風機の強の強さと同じくらいだそうです。正確にいうなら気象庁の「風力階級表」というのがありますが、それによると、
- 風力1:0.3以上1.6未満m/sは「風向きが、煙のなびく様子から分かる」
- 風力2:1.6以上3.4未満m/sは「顔に風を感じる。木の葉が動く。」
ということです。(参考:気象庁風力階級表)
以前、0.1秒差が陸上ではシビアな世界だという印象を受けたのはこういう理由だったのかも。普段の心地いい風は選手にとっては記録を左右する大ごとなんだと競技を見る目が変わりますね。