2019年9月27日から開催される世界陸上選手権(ドーハ)や来年の東京オリンピックで最もメダルに近い競技を知っていますか?
マラソン?リレー?いやいや“男子競歩”です。陸上はほぼアメリカの独占場となっていますが、その中で世界ランキング上位のほぼ半分を日本の選手が占めています。
なんかひたすら小走り的な早さでレースをしていて、はっきりいって地味な競技です。
地味、、それが廃止の一因でもあるのですが、競歩の中でも50kmが廃止の対象競技です。他に競技時間が長く若者に人気がない、というのが廃止の理由として国際陸上連盟が決定しました。
2021年以降は「競歩50kmは世界大会、オリンピックでは実施しない」という事実上、廃止です。
過酷なレースにもかかわらず、ルールが素人目にわかりずらい。しかも長時間のレースで順位の変動があまりないということらしいのですが、、。
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現在の正式種目は男女競歩50km、20kmがあります。
競歩50kmはマラソンよりも長く、競技時間も4時間弱かかる耐久レースです。ちなみに20kmは1時間30分くらい。
せっかく日本のお家芸になりつつあった競歩があっさりとその道を閉ざされるとは。
2021年以降は競歩50kmの代わりに35km、30km、10kmを導入し20kmはそのまま。2021年の世界選手権では男女混合のリレー式競歩の導入が検討されてるようです。
そんな日本人選手の雄姿が見おさめになるかもしれない「競歩」は注目ですよ。
Contents
世界陸上選手権2019競歩日程
なんと開催地ドーハが暑いため、競歩は夜中(現地時間)に開催されます。日本との時差は-6時間です。
- 2019年9月28日(土)23:30~ 男子/女子50km
(日本時間:9月29日(日)5:30~ ) - 2019年9月29日(日)23:30~ 女子20km
(日本時間:9月30日(月)5:30~) - 2019年10月4日(金)23:30~ 男子20km
(日本時間:10月5日(土)5:30~)
日本の朝のニュースでは結果がわかっているはずです。
東京オリンピック2020競歩日程
東京オリンピックでは皇居外苑で開催され、チケットなしで観戦できます。
→開催会場は北海道の札幌に変更になりました。
■参考>>「東京オリンピック陸上で注目の“競歩”の代表選手最終内定と重要な大会」
オリンピックでは女子の50kmは競技から除外されています。また暑さ対策のため早朝から競技が始まります。
- 2020年7月31日(金)6:00~男子20km
- 2020年8月7日(金)6:00~女子20km
- 2020年8月8日(土)5:30~男子50km
世界陸上選手権2019、東京オリンピックで注目の日本人選手(競歩)
すでに世界選手権に出場する競歩の選手は決定しています。
世界陸上選手権2019の競歩代表選手と参加基準
【男子50km】
勝木隼人選手(自衛隊体育大)
野田明宏選手(自衛隊体育大)
鈴木雄介選手(富士通)
【男子20km】
髙橋 英輝(富士通)
山西 利和(愛知製鋼)
池田 向希(東洋大学)
【女子50km】
淵瀬真寿美(建装工業)
【女子20km】
岡田 久美子(ビックカメラ)
藤井 菜々子(エディオン)
大会で代表になる基準として、これまでの大会における成績やタイムはもちろんですが、日本の派遣設定記録と各大会の参加記録の両方をクリアする必要があります。
種目 | 日本派遣記録 | 世界選手権参加 | オリンピック参加 |
---|---|---|---|
男子50km | 3:45:00 | 1:22:30 | 1:22:00 |
男子20km | 1:20:00 | 3:59:00 | 3:50:00 |
女子50km | なし | 4:30:00 | なし |
女子20km | 1:30:00 | 1:33:30 | 1:31:00 |
このドーハ大会で上位3位に入賞し参加記録をクリアしている選手は、オリンピック出場が内定となります。
注目の競歩の日本人選手ランキングと記録
IAAFの世界ランク10位以内に占める日本人選手の割合はおよそ半分。それだけメダルに近い選手が多いということです。
注目の選手のこれまでの記録を見てみましょう。
選手名 | 種目 | 今期ベスト | 自己ベスト | 世界ランク |
---|---|---|---|---|
荒井広宙 | 50km | 3:43:02 | 3:40:20 | 2位 |
丸尾知司 | 50km | 3:40:04 | 3:40:04 | 3位 |
勝木隼人 | 50km | 3:45:05 | 3:44:31 | 4位 |
鈴木雄介 | 50/20km | 3:39:07 | 3:39:07 | 6位 |
川野将虎 | 50km | 3:39:24 | 3:39:24 | 9位 |
野田明宏 | 50km | 3:39:47 | 14位 | |
山西 利和 | 20km | 1:17:15 | 1:17:15 | 1位 |
池田 向希 | 20km | 1:17:25 | 1:17:25 | 2位 |
髙橋 英輝 | 20km | 1:18:00 | 1:17:26 | 9位 |
鈴木雄介 | 20/50km | 1:17:47 | 1:16:36WR | 12位 |
淵瀬真寿美 | 50km | 4:19:56 | 4:19:56 | 22位 |
岡田 久美子 | 20km | 1:27:41 | 1:27:41 | 20位 |
藤井 菜々子 | 20km | 1:28:58 | 1:28:58 | 23位 |
(2019年9月3日付更新)
競歩を楽しむための基本ルール
地味な競技でも、あの独特の歩き方が強烈な印象の競歩ですが、過酷なレースと言われています。それが参加者の1割が失格になるほど厳しいルール。
なかなか素人目にはルールのポイントがよく分かりませんが、2つの重要なポイントがあります。
①常にどちらかの脚が地面についていないといけない(ロス・オブ・コンタクト)
②かかとが地面についてから、脚が地面と垂直になるまではヒザを曲げてはいけない(ベント・ニー)
これらのフォームがくずれると“走っている”ということで失格になります。
その場合、「イエローパドル」とよばれる警告の黄札が出されます。この札は何枚だされても大丈夫ですが、改善がみられない場合はレッドカードが出されます。このレッドカード3枚で「失格」です。
ゴール近くの主任審査員からレッドカードを出されると「即失格」となります。
あまりの厳しさに途中棄権や失格者が続出するため過酷というわけです。
同じフォームで3、4時間も歩いていたら、何がなんだかわからなくなりそうですよね。
これだけのルールを知っておけば、長い競技時間も楽しめる?!
東京オリンピックで見おさめの競歩50kmは、チケットがなくても観戦できます。ちょっと興味がわきませんか?