本田圭佑選手の“コーチングライセンス制度”の改革発言には賛否両論あるようです。現在カンボジアナショナルチームでGMをしている本田選手は“事実上の監督”という前おきが付きます。これは本田選手が監督になるライセンスを持っていないためです。

GMは特にライセンス制度ではないためプロやクラブチームの経験者でなることができます。それはGMがチーム全体の戦略と監督、選手のチームビルディング、スポンサーや集客マネイジメントといった選手と直接かかわることが少ないため。逆に言えば監督は直接選手と関わることが多いだけに、実践での活躍がなければ選手がついてこない、ということが多いとされます。

サッカーの代表、クラブチーム監督はS級ライセンスが必要

日本のサッカーにおいてプロ(代表選手、Jリーグ選手)を指導するためには“S級”コーチのライセンスが必要となります。このライセンス取得には、試験だけでなく実務経験、指導経験などの条件がいくつかあり、必ず「S級コーチ養成講習会」を経ていなくてはなりません。年間20名程度の人が取得しているようです。

なお2018年より養成講習会を受講できる資格条件がより厳しくなっています。養成講習会を受けるためのトライアル講習会を受講することが義務つけられています。つまり本選の養成講習会には条件を満たした選ばれた人しか受ける資格がない、ということです。

その条件も結構厳しいもので、1年以上の指導経験があることが絶対条件として、それにプラス、

  • 有効なJFA A級コーチジェネラルライセンス(S級の1つ下)保有者
  • 有効なUEFA-A(欧州サッカーA級)、AFC-A(アジアサッカーA級)に相当するライセンス保有者
  • 2017年度A級コーチジェネラル養成講習会受講者のうち、総合成績がSランク且つ国際Aマッチ20試合以上もしくはプロリーグ公式戦300試合以上の出場経験を有する者。

のいずれかが条件です。この応募者の中から個人面談を経てやっと「養成講習会」への参加が認められます。

ここから全カリキュラムを修了し、筆記試験・指導実践・口頭試験・研修レポート(3週間の海外インターンシップの)においてすべて合格した後、サッカー協会の審査を終えてライセンスの取得となります。これは相当狭き門ですね。

本田選手の主張した「プロ経験があれば筆記試験だけでよい。」というのはかなり簡略化しすぎな気もします。賛否あるのはこの差が大きいような、、。

ちなみに日本のS級コーチライセンスを取得すればAFC Pro-Diplomaとの互換性があるため、アジアのプロチームでの監督をすることができます。本田選手はS級ライセンスはもっていないため、カンボジアでのポジションもGMということになります。

海外の監督が日本代表チームの監督になれるが日本人はどうなのよ?

日本男子サッカーの監督就任は毎回大きなニュースになります。2018年現在の監督は森保一監督で日本人ですが、これまでは海外からの外国人監督も就任しています。でも海外で日本人が監督に就任したというニュースは聞きませんよね。

それだけに本田選手のGM就任と“事実上の監督”というのが話題になるわけですが、ここにはライセンスの適用範囲が大きく関係しているようです。

簡単に言えばコーチライセンスには2種類あり、各国にあるサッカー協会が公認するコーチライセンスとそのサッカー協会が所属する大陸連盟の公認するコーチライセンスです。それぞれのライセンス間での詳しい互換性はよくわかりませんが、言えるのは「UEFA Pro>AFC Pro=JFA S級」ということです。UEFA Proを持っていれば欧州連盟のどのチームの監督にもなれます。


(フランス代表のデシャン現監督)

ついでにフランスの英雄ジダンは2015年にUEFA Proのライセンスを取得して、現在はレアル・マドリードの監督をしています。

日本のS級ライセンスがUEFAのライセンスと互換性がないためヨーロッパチームの監督にはなれません。逆にUEFA Proのライセンスは日本では認められているため代表チームやJリーグの監督にも就任出来ます。力関係でいけばUEFA Proのライセンスはサッカー監督の中では最高位にランキングされているようです。

FIFAランキングの大陸連盟間の強さポイントの定数が若干違うのをみてもわかるように欧州や南米チームは扱いが上といったところでしょう。(2018年ワールドカップ後のランキング算出は大陸連盟間の定数はなくなりました。)

いずれにしても日本のサッカーレベルの向上には選手だけでなく監督もより厳しいレベルが求められるということですね。

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