厚底ブームの最中に、“伝説の靴職人”が“薄底シューズ”を発表し、話題を呼んでいます。

ランナー達の「ソール」の厚さが注目される昨今

バスケットボール用のシューズに「エア」が注入されて以来、これほどスポーツシューズが話題になることは無かったほど、今や長距離ランナー達の間で「厚底」が騒がれています。

2017年5月、ナイキ(NIKE)が42.195kmを2時間以内に完走するという目標を掲げて「ブレイキング2」というプロジェクトを立ち上げ、その中で、ヴェイパーフライ4%(NIKE ZOOM VAPOR FLY 4%)と名付けたものすごくソールの分厚い靴を発表されました。

このプロジェクトの成果として、2016年のオリンピック金メダリスト、エリウド・キプチョゲがなんと2:00:25 のタイムで走り、フルマラソンでの史上最速のタイムが出たのです。

これまでマラソンシューズは、薄くて軽いのに反発力があるものがよしとされていて、その目標に向かって技術開発も行われて来ました。

しかし、ナイキのヴェイパーフライ4%は真逆の発想のシューズでした。

「厚底シューズ」が日本人選手の活躍にも貢献

日本選手についても、2017年のボストンマラソンで3位入賞の大迫傑選手(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が、分厚いシューズを履いていたことが話題になりました。

9月には、設楽悠太選手(ホンダ)が、この靴でチェコのハーフマラソンを走り、日本新記録をだしました。

さらに1週間後、ベルリンで2時間9分台の自己ベストを出して、前週のダメージを感じさせない結果となりました。

ごく最近では、2018年10月7日に行われたシカゴマラソンで、男子の大迫傑(おおさこすぐる 27歳)選手が日本新記録を更新し、日本実業団陸上連合(実陸連)から報奨金1億円が贈られたのが大きなニュースとなりました。

この成果で、さらに大きな注目を浴びたのは大迫選手が履いていいた厚底シューズ、NIKE ZOOM VAPOR FLY 4% FLY KNIT(ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニット)でした。

“伝説の靴職人”が厚底使用に注意を

この厚底ブームの中、TBSドラマ「陸王」に登場するシューフィッターのモデルともされる伝説の靴職人、三村仁司氏(70)は「厚底には反対」の立場をとっているようです。

三村仁司氏は「足首が硬い選手はクッション性があった方が良いと思うけれど、そういう人は10人に1、2人くらい。足首を痛める恐れがある」と昨今のブームに懐疑的な考えを持っています。

「厚すぎても駄目だし、薄すぎても駄目。その人に合ったシューズが大事」と長年のシューフィッターの経験による結論を語っています。

高橋尚子や野口みずきら名ランナーのシューズを手掛けてきた靴職人の三村仁司氏は今年スポーツ用品メーカーのニューバランスと専属アドバイザー契約を締結しました。

三村氏はその後、共同開発した自慢の“薄底シューズ”のことを「試合で結果が出せる靴を開発したいと思っていたが、今回やっと出来ました」と新製品についての自信を語っていました。

発表された「NBハンゾーV2」は「履いていただいたらすぐわかる。いままでにないような履き心地が感じられる」とさらに開発の成果に自信をにじませました。

この新シューズは三村氏の持つ数十万人もの足型ビッグデータを元に、ソールを1層にしたことで履き心地も大幅改良されているとしています。

同じニューバランスとアスリート契約を結んでいるプロランナーの神野大地(25)は青学大時代から三村氏が手掛けたシューズを履いてきて、「僕が結果を出せばこのシューズが注目される。目標達成のためにシューズの力を借りたい」と、厚底勢との対決が予想される福岡国際を含め、これからのマラソンに向けての抱負を語っています。

駅伝でも「厚底」「薄底」対決

2017年の出雲駅伝以来、東洋大学と東海大学の学生が「厚底」ヴェイパーフライ4%を履いているのが話題となっています。

しかし、名門青山学院大学は、基本的に「薄底」アディダス(ADIDAS)を履いて駅伝に挑んできています。

まだまだ「青トレ」という体幹トレーニングで有名な青山学院大学は優位ですが、「厚底」がどこまで駅伝の舞台で可能性を伸ばせるか、箱根駅伝を始めとし、これからの駅伝の注目点になりそうです。

正しい厳しいトレーニングが何より大事な長距離陸上競技ですが、「目に見える」ランナー達の足元の違いにも視線が集まるようになった陸上界ですが、日本選手も自分に合ったシューズを履いて、どんどん記録を伸ばしてもらいたいものです。

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