NHK2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(作:宮藤官九郎)は日本が初めてオリンピックに参加した1912年ストックホルム大会から、1964年東京オリンピックが実現するまでの52年間の物語です。

中村勘九郎が演じる日本で初めてオリンピックに参加した男・金栗四三がシリーズ前半の主役です。

また、金栗四三以外にもう一人の日本人ランナーがこの五輪大会に参加しました。

それは、ドラマでは生田斗真が演じる短距離専門の三島弥彦でした。

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「運動会の覇王」と呼ばれた男

生田斗真(いくた とうま、1984年10月7日- )が演じる三島弥彦(みしま やひこ、1886年(明治19年)2月23日 – 1954年(昭和29年)2月1日)とは、学習院を経て現役東京帝国大学の学生というトップエリートでありながら、あらゆるスポーツにも秀で「運動会の覇王」と呼ばれるほどのアスリートでした。

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後に、雑誌「冒険世界」の「痛快男子十傑投票」という読者投票コーナーで1位を獲得し、「痛快男子」とも呼ばれて、当時からかなりの知名度があったようです。

生田斗真の「裸になります」宣言

「いだてん」の撮影が始まる前のインタビューで、生田斗真は宮藤官九郎の作品の出演の豊富な経験から、「いつもたいがい裸にさせられることが多くて、今回も(上半身)裸になる予定がございます」と覚悟を話して、「お茶の間の皆さんにお見せしても恥ずかしくない体づくりを目指して、来年からの撮影を頑張りたいと思います」と約束をいていました。

「いだてん」の制作統括の訓覇圭氏は、生田斗真の「裸になる」発言を補足して、「三島さんご自身の写真が残っていまして、それが上半身裸。

生田さんがすすんで脱ぎたいとおっしゃったのではなくて、モデルとなった実在の人物が上半身裸のかっこいい写真を残している。

これを生かさない手はない、というのが我々の意図です。

明治の終わりに、そんな写真を撮っていた人がオリンピックに行ったなんて…。とても魅力的だと思いました」と演出上の事情を話しています。

飛び入り参加で、五輪代表へ

スウェーデンのストックホルムで開かれる第5回国際オリンピック大会代表を決める「オリムピク大會予選競技会」が羽田運動場で1911年(明治44年)に開催されました。

三島弥彦は、この大会には選手としても審判委員としても参加を見送ったが、友人と観戦していました。

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しかし、いざ目の前で競技が始まると、本人の言葉によりますと、「生来の好戦癖はムクムクと起って、到底ジッとして傍観しては居られぬ。

久しく練習も絶えていたけれども、兎にも角にも交はって走って見やうという」ことで、突然競技に飛び入り参加し、100m、400m、800mの各短距離徒競走で第1位、200mで第2位と抜群の成績で終わりました。

その日の競技で、立高跳び優勝の後藤欣一、立幅跳び優勝の泉谷祐勝、走幅跳び優勝の霜田守三などの選手も優秀な成績を残しましたが、ストックホルムまで送れる選手団用の予算が少なく、結局、マラソンおよび10000mに出場が予定された金栗四三と三島の二人だけが選手に選ばれました。

生田斗真の役作りトレーニング

生田斗真は撮影前の準備について、このように用意をしたとインタビューで語っています:

三島弥彦を演じるにあたって、2017年の12月ごろからスプリント(短距離走)のトレーニングをしていました。

オリンピックに出場されるような方々から指導をしてもらって、本当にいろいろなことを教えていただきました。

がむしゃらに走れば速くなるというわけではなくて、腕の振り方であったり、スタートの角度であったり、細かいことまで勉強して、こういった練習をいかに本番でいちばんいい形で再現できるかが勝負なんだと知りました。

その中で、いちばん印象に残ったのが、「僕ら短距離選手って、4年に一度がたった10秒で終わっちゃうんですよね」という言葉でした。

ものすごい重みを感じましたし、今でも強く記憶に残っています。4年間でたった10秒。その10秒間のために4年間頑張るのは相当な覚悟だし、僕らには計り知れない孤独と重圧があるんだと実感しました。

弥彦は実際にオリンピックで走ったあと、「日本人に短距離は無理だ。西洋人に勝てるわけがない。100年かかっても無理」と言っています。

ちょうど100年後の今、まだ日本人はオリンピックの100メートル走で金メダルは取れていません。

でも、その一方で桐生祥秀選手や山縣亮太選手、ケンブリッジ飛鳥選手など、海外のトップ選手と互角に戦える実力を備えた日本人選手も現れています。

そこまで日本人も速くなったんだと思うと、弥彦を演じる身として感慨深いものがありますね。(Idaten Web Magazine)

天狗倶楽部の存在

三島弥彦を語る上では欠かせないのは、彼が所属していたスポーツ社交団体「天狗倶楽部」のことです。

定かではありませんが、「天狗倶楽部」の発足年は1909(明治42)年ごろではないかとされています。

発起人は大河ドラマで武井壮が演じる押川春浪(おしかわ・しゅんろう)。

そこに近藤公園が演じる中沢臨川(なかざわ・りんせん)や、満島真之介が演じる吉岡信敬(よしおか・しんけい)などが集まってできたと言われています。

当時から「テング、テング、テンテング、テテンノグー」という掛け声を用いていたそうで、とにかくハイテンションなアスリート達の集団だったようです。

戦前の日本でこの「痛快男子」の集まりのメンバー達についてはいろいろな逸話があるようです。

これからは大河ドラマの中の他の「天狗倶楽部」の面々の活躍も楽しみです。

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