陸上競技には、自分が走ったり跳んだりするだけでなく、「物」をいかに遠くへ飛ばすかを競う「投てき競技」があります。
投てき競技の種目について見てみましょう。
投てき競技の種目
陸上競技の他種目と同様に、陸上競技のルール決めや世界記録の公認は、国際陸上競技連盟(IAAF)が行っています。
IAAFが公認している跳躍競技は以下の4つです。現時点の世界記録も合わせて記載します。
砲丸投げ ランディー・バーンズ 23m12cm
円盤投げ ユルゲン・シュルト 74m08cm
やり投げ ヤン・ゼレズニー 98m48cm
ハンマー投げ ユーリ・セディフ 86m74cm
それぞれの種目の特徴と世界記録の動画を見ていきましょう。
砲丸投げの特徴と世界記録
片手で砲丸を遠くに投げる能力を競う種目ですね。砲丸の重さは性別と年齢(一般・高校・中学)によって変わります。
- 一般男子:7.260kg
- 一般女子:4kg
- 高校男子:6kg
- 高校女子:4kg
- 中学男子:5kg
- 中学女子:2.721kg
2mほどの円内から投げますが、どこに投げても良いわけではなく、決まった方向に扇形のゾーンがあり、その内側に落下したものだけが有効になります。
投げるときに円から出てしまっても失格となります。
投げ方にも制限があり、砲丸を首の付近で固定して片手で押し出すように投げなければいけません。
野球のピッチャーのように手を伸ばして投げると失格となります。
投げ方には、投げる方向に背を向けて助走とひねりにより飛距離を出す「グライド投法」と、全身を回転させて遠心力により飛距離を出す「回転投法」の2つがあります。
砲丸投げは言うまでもなくパワーが全てです。体重と分厚い筋肉を持つ人ほど有利とされ、世界的には欧米人が活躍して、日本人は体型的に不利で実力は世界レベルに遠く及んでいません。
YouTube:1990年ロサンゼルス ランディー・バーンズ 23m12
ランディー・バーンズ は1990年に世界記録を出して、20年以上経った今でも破られていない記録です。
円盤投げの特徴と世界記録
円盤投げは、片手でも持った円盤を遠くに投げる能力を競う種目です。
円盤の重さは性別と年齢(一般・高校・中学)によって変わります。
- 一般男子:2kg
- 高校男子:1.75kg
- 中学男子:1.5kg
- 女子(年齢問わず):1kg
2.5mの円内から投げますが、砲丸投げと同じく決まった方向に扇形のゾーンがあり、その内側に落下したものだけが有効になります。
投げるときに円から出てしまっても失格となります。
投げ方は自由ですが、一番飛距離が出る身体を回転させて遠心力で投げる方法で統一されています。
世界記録の動画は残っていないですが、1986年に東ドイツのユルゲン・シュルトが74m08cmの世界記録を出しています。
こちらは30年以上前の記録ですね。
やり投げの特徴と世界記録
やり投げは、助走をつけてで槍を遠くに投げる能力を競う種目ですね。
やりの重さ/長さは、男子が800g/2.6~2.7m、女子が600g/2.2~2.3mです。
長さの割には軽いですね。
棒高跳びで使うポールのように、長さや材質は何でも良いというわけではなく、やりの規格は決まっています。
実は、1984年に100mを超える記録が出ているのですが、やりが飛び過ぎると他の競技者が危ないですし、競技場を用意するのも大変ですので、その時にあまり飛距離が出ないよう、やりの重心の位置が変更になりました。
ルール改正後の1986年以降の記録が公認記録となっています。
円内から決まった方向へ投げる、というのは他の投てき種目と共通しているのですが、危険防止のため、やり投げは唯一回転投法は認められていません。
YouTube:1996年ドイツ ヤン・ゼレズニー 98m48cm
ヤン・ゼレズニーは、1992年バルセロナ、1996年アトランタ、2000年シドニーとオリンピックを3連覇しています。
世界陸上も、1993年、1995年、2001年と3度の金メダルを取っています。
長期にわたって、世界のトップレベルを維持し続けました。
ハンマー投げの特徴と世界記録
ハンマー投げは、ハンマーを遠くへ投げる能力を競う種目です。
ハンマーの長さ/重さは、男子が1.175-1.215m/7.26kg、女子が1.160-1.195m/4kg です。
重さは砲丸投げの一般男子/女子と同じですね。
円内を3回転もしくは4回転して投げるのですが、現在は4回転が主流です。
重いハンマーを安定的に投げる技術と、投げたときにかかる負荷を支える強靭な身体が必要です。
日本では何といっても室伏選手が有名ですね。世界的にもトップレベルで世界第4位の記録を残しています。
YouTube:1986年ドイツ ユーリ・セディフ 86m74cm
ユーリ・セディフは、すでに主流となっている4回転でなく3回転で投げて世界記録を立てています。
1980年に初めて世界記録を出してから、4回更新しています。
投てき競技まとめ
投てき競技を見ていきましたが、いかがだったでしょうか。
4種目とも円内から決まった方向に投げるというのは共通していますが、世界記録保持者は別々です。
それだけ、各種目が強靭な身体だけでなく高い技術を求められるということだと思います。